本当に欲しい人

先々月のある休日、ロレックス某正規店でのこと。ある顧客が店員に語った言葉が耳に入ってきた。「一部の不届きな転売者のせいで本当に欲しい人の手に渡らない状況はけしからんですね」。

一見(一聴)正しいかに思えるこの主張を私は全否定する。

転売者とは、買ったものをそれよりは高く売って差益を得る者、あるいは得ようと行動する者と定義付ければ、あなたも私も結局のところは転売ヤーである。時計好きの多くはそうであろうし、時計ショップなどは100%転売者である。オノマックスもクォークも宝石広場も、そしてウォッチ・ザ・ウォッチもだ。スイスから仕入れて卸す日本ロレックスだって実はそうだ。そして冒頭の言葉を語った本人も生涯純増を貫かない限り実は結局のところ転売者である。いや、買ったその足で売るのと、購入してから数か月、あるいは数年後に売却するのとでは違うというかもしれないが、本質的には同じ。しかし、その議論は一旦脇に置く。

私が問題にしたいのは転売うんぬんの下りではなく「本当に欲しい人」という箇所だ。「本当に欲しい人」とはおそらく消費者としてその時計が欲しく、かつ購入したら使う人を意味しているのだろう。その行為は正しいというニュアンスが言外にある。正しい購入者、あるいは正当な消費者。その対極に、欲しくもないくせに購入して転売し儲ける「不届きな奴」がいて、それは不正行為、あるいはインモラルだというニュアンスがある。

不届きな転売者がいるせいで「本当に欲しい人」が新型デイトナを買えないことはけしからんこと。そうだろうか…。私は違うと思う。

100万円を超える高級時計を「個人で所有したい人」と「差益を得たい人」。どちらも強い欲望の支配下にある。両者とも、ロレックス・新型デイトナ116500が欲しい。正規店で買いたい。その欲望があまりに強烈であるがゆえに何度も何度も正規ショップに足を運ぶ。時計に興味のない人から見れば、言葉は悪いがどちらも同じ穴のムジナではないのか。私はそう思う。試しに女房殿にどちらが×(バツ)か聞いてみればよい。意外と女性は、コソ買いのアンタ(=本当に欲しい人)の方がよっぽどけしからんと言うかもしれんゾ。

どちらも同じだと私は思う。そしてどちらも否定しない。いや否定どころか肯定する。人の欲望こそが市場を活性化し、極論を言えば社会を発展させていると思うからだ。だが、買えないからといって、欲しい者同士で一方が他方を批判するのはおかしいだろうということを言いたかった。更に書けば文句を言うべき相手が違うだろうとも。デイトナが手に入らないこの状況を作っているのは「転売者」ではない。多くの人を困らせ、疲弊させ、失望と徒労を味あわせているのはみんなが大好きなロレックスなのだ。いくらロレックスが好きで、そのブランドを愛し、自らをロレ病などと自嘲しても、人はその奴隷ではない。例え相手が大好きなロレ様だろうとおかしいことにはおかしいと言うべきだし、伝える手段がなかったとしても心中でずっとそう思い続けるべきではないか。供給がないことだけではなく、自分が金を出したわけでもない店員が、客の目の前で新品時計の保護シールを剥がすのとか絶対におかしい。嘘か本当か、店で見つけても銀行に金を下ろしにいく間もHOLDしてくれないとか、電話で確認したら奇跡的に在庫があったが取り置きしてくれないのでその店のある街まで2時間車をぶっ飛ばしたとか。わはは。これマジだったら相当だな。血相変えてハンドル握っただろうな。危ないなあ。「待ってろ、俺のでいとな~~~~~~~!」。

私は新型デイトナに興味がない。個人の時計好きとしてまったく興味がない。上に書いたように今現在のロレックスという会社のやり方に腹も立てているので現行品を買おうとも思わないし好きではない。もしフラっと正規店に行って新型デイトナが売っていたってもちろん買わ、う。ハハハ。どっちだよ。買う。絶対に買う。誰に何といわれようがやっぱり買うだろ。これを読んでいる人もそうだと思う。そして、使ってホクホクの人もいるだろうし、中古屋へ持ち込んで差益を手にしてウハウハの人もいるだろう。ホクホク、ウハウハどっちもいいではないか。その人がハッピーなら尚のこと。これら行為は果たして「けしからん」のだろうか。ロレックスにとっていびつな状況をロレックス自身が作り上げてしまっているくせに、後者の顧客をまるで違反者か悪徳者であるかのように扱うことにやっぱり私は納得がいかないのである。

悪い癖でまた私の話が逸れつつある。ということで、最後にもう一度今日の本題について書いておきたい。人が時計を欲しいと思う気持ちに本当もくそもない。みんな欲しいのだ。そして手に入れた人をやっかむことはやめよう。「良かったな。おめでとう」って気持ちよく言ってやれる男であろうよ。いくつになろうとも。プラス、長いものに巻かれるんじゃなく、おかしいことはおかしいと言い続けよう。これもまたいくつになろうとも。
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時計は回るよグルグルと

かつて私はロレックス好きというのは数えきれないぐらいの数の人がいると思っていた。コアからグレーゾーン、そして初心者まで含めると、それこそ数万人、いや数十万人はいると。だが、今私は自分のその感覚を大きく下方修正している。実はすごく少ないのではないかと。なぜそう思うかというと、どうも少ない数の人が、少ない数の時計を頻繁にぐるぐる回しているとしか思えないからだ。

以前の記事で、私が過去に手放して後悔していた個体をあるお店で偶然に発見し買い戻した話を書いた。当時の私は、この広い日本のマーケットで果たした再会を「奇跡」だと思っていたのだが、昨年10月に店をやってから、過去に私個人が手放した時計が2本、買取りで入って来たという事実がある。見覚えあるなあと思ってシリアルを確認したらビンゴである。私が過去に数百本のロレックスを売り買いしてきたならわかるが、開業前の私が数年間で買って手放したロレックスなどたかが知れている。手放したそのうちの合計3本と妙な再会を果たしたこと、これをどうとらえるべきか。

つまり、非常に少ない顧客が、これまた少ない個体をぐるぐると回しているというのが私のあまり当たって欲しくない見立てなのだ。過去に私が購入し手放した時計というのはどれも市場ではなかなかのモノばかりだ。こう書くと自慢のように聞こえてしまうかもしれないが、まあ事実だ。そういう個体は、日々情報をキャッチしようと餓狼のごとくネットを徘徊する(そうは多くない)ロレマニアたちが買い占め、それらをこれまた飽きっぽい(失礼!)ロレマニアが数年単位、時には数か月単位で手放し、それをまた別の狼がゲットするという構図でグルグルと回っているのではないか。

つまり、はっきり書くと、コアなロレ好きの数は実は少ない。そして、決して若くはなく、少々書きづらいが、、、彼ら、つまり皆さんはとても飽きっぽい。更に書くと、新しい時計を買う際に結構な頻度で手持ちを手放す。そういう少数の、ロレックスがめっちゃ好きだけど、すぐに飽きてしまう人々によって時計がグルグルと回り、中古ロレックスというマーケットが成り立っているのではないかと見立てた。実際のところコアは700人ぐらいしかいないのではないだろうか(笑)。いやもちろん冗談である。冗談だからわざわざ(笑)と書いた。700人なんて少なすぎてシャレにならない。たが、ではその10倍の7000名いるとオマエは本当に思うかと聞かれたら、とてもじゃないが「いる」とは断言出来ないな。まったくその実感はない。小野さんとこもいつも常連さんが買っていて、「初めてのお買い上げありがとうございました」の記述は滅多に見ない。同業の新着時計には「あれ、この個体は先日…」というものが結構多い。やっぱりグルグルなのではと思うが、まあそれならそれで良いし皆で仲良くやっていこうではないか。結局のところ、あなたも僕もキミも俺もみんな変態なのだから。

ミッションズ

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オメガの限定版には熱いのが多い。中でもこのミッションズシリーズは商品企画としてとても秀逸。合計23本のうちの1本は記念すべきスピマス1stのレプリカ、残りの22本にはアポロ、ジェミニ、スカイラボという各宇宙計画を象徴するイラストが文字盤左のインダイヤルに刻印された。合計23本が限定40セット。それらの時計には、ラグ裏に・・/ 40 の数字が刻印されている。各プロジェクトの飛行船は、無事に月に到達してミッションを達成したものもあれば、爆発炎上して失敗したものもあるが、挑み続けた系譜こそがNASAの栄光であり、そこに供給し続けたオメガの誇りでもある。収納ケースは宇宙服と同じ素材で作成されているという凝り方。殿様商売のロレックスはこういうことは絶対にやらないだろうしやる発想すら持ち得ないだろう。みんなが不快に思う品薄商売が関の山だ、となぜか今日は少々手厳しい。話をオメガに戻す。発売は1998年。こんなオモロイ企画をコレクターが見逃すわけがなくその40セットは速攻で売り切れたという。販売終了後は世界中から再販の要望があり、それに応える形で各モデルが150本限定で復刻された。こちらにはラグ裏に限定の刻印はない。たった150本であるから当然入手は簡単ではない。

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アポロのエンブレム。他にジェミニ、スカイラボ計画のエンブレムがある

22種のエンブレムはどれも個性があって面白く、好みが分かれるところで、かつセンスが問われる。ただでさえ入手困難な中でも、その22種にはやはり人気のランクというか、激レアなものがあって、これまで売られているのを一度も見たことがないモデルも多いし、モノによっては軽く100万円を超える値付けがされている。日本ではその状況を把握していない個人や店が安価で市場に出してたりするのが面白い。こういう現象は人気が行き渡ってしまっているロレックスではまず見受けられず、そういう意味でも他のブランドに目を向けるとこの趣味の楽しみはもっと広がる。まだ店に卸していないミッションズが何本か私の手元にあり、いずれ販売するが、激レアがあるのでお楽しみに。

せっかくなのでもう少しオメガの話題を。オメガの限定版が注目されているのは世界的な現象で、かつては比較的安価に入手できたアラスカプロジェクトや丸井限定あたりも2倍近く高騰してしまった。私はイタリア限定(下記写真)が好みで個人的にずっと欲しい欲しいと思っていたが、何せ500個限定なので滅多に売りに出ない。先般ようやく海外のショップで出て、その販売価格は130万円。eBayでは250万円。ここまで幅がある理由は数が少なすぎて相場を形成できないから。こういうのが本当のレア品というのだろう。個体によってはもっとアイボリーに変色しており、同じ白系でもどこか冷徹で剛な印象を与える三越限定やアポロ11号とは違って、柔らかみというか妖艶さというか、イタリア向けというだけあって何とも表現しがたいヨーロッパ的な美をまとった時計なのだと絶賛しておく。こういうのは個人的にも欲しいが、仕入れて売ることができたらちょっと鼻が高い。いやはや惚れ惚れするフォルムだ。「ロレックスだけが時計ではない」キャンペーン中。
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イタリア限定500個 アルビーノ 3593.20 手巻き

前回記事の補足として

これは前回記事の補足でもあるのだが、実際に4桁や5桁は市場から急速に消え始めている。コレクターが手放さないことと海外への流出という2つの要因によるもので、欲しいものがある人は押さえるべきだと書いた。また、チュードルのスポーツ系(サブ&クロノタイム)は鉄板だとも。これは決して煽りではない。もはや世界的な事象である。

ロレックスの購入を投資と見做す人、あるいは結果として差益にとてもこだわる人が想像以上に多いというのが時計ビジネスに手を染めてわかったことのひとつ。その是非はともかくとして、そういう人はおそらくチュードル・スポーツ系の高騰は見抜けていたはず。中古ロレックスの異常なまでの高騰、さすがに手の出なくなった層にとって、ロレックスの弟分であるチュードルのスポーツ系に目が行くことは自然な流れだった。チュードルの青サブやカマボコが良い例。春先ぐらいまでは結構安価に購入できたはずであるが、今や70万円前後、驚異的な180%アップほどの値上がり。クロノタイムに関しては、カマボコ791~はもちろん、後継の792~シリーズも良い時計である。まだ比較的こちらのほうは買いやすい価格で推移しており、何度も書くがタイガー以外なら買っておくのは有り、おそらくは早晩騰がっていくだろう。私は個人的にチュードルのスポーツは理屈抜きに好きである。青サブは持っているが、クロノタイムも個人的に所有しておいてもよかったかなと今は思う。とにかくチュードルのいい意味での軽さや安っぽさは(私には)最高である。

【オマケ】
本日、ショップHPにアップした116034を見ていただけだだろうか。このブログのドメイン名でもあり、私が最も愛好したモデルのひとつである。開業して以来、この時計を販売するのが私のささやかな夢でもあった。海外に持っているあらゆる伝手に情報の網を張っていたのだが、やはり難易度高く、これまでこの時計はまったく引っかかって来なかった。過去に個人として所有していたが、理由(わけ)あって手放してしまい、違うシリアルであってもこのモデルの実物を再び手にすることはないと半ばあきらめていたのだ。従ってこの時計を買い取らせてもらったときは感激だった。この場を借りて、まず買い取らせていただいた方に感謝、そしてご注文いただいた方に感謝。お二人ともこれまで過去にも購入や下取りをさせていただいており、大事なお客さんから大事なお客さんにつなぐことが出来たのもまたうれしいことであった。時計屋冥利に尽きた1日だった。

故きを温ねて新しきを知る

会話中にフト相手の左腕に目を遣るとそこにはエクスプローラーが。ヴィンテージ1016である。ちょっとそれ見せてくれろと手に取らせてもらったのだが、まあ何というかやっぱり絶品だなこれは。70年代前半のマット仕様。ケースの大きさ、デザインの良さ、そしてバランス。文句の付けようがない。昨今では36mmのケースは小さい部類ではあろうが、3針のみというこのデザインではこれ以下も以上もない絶妙なサイズ。私は1016をこれまで所有したことがなく、多分これからもないのだが、エクスプローラーⅠは114270や14270より前の1016ですでに完成の域にあったことを(あくまで主観として)改めて認識する。

故きを温ねて新しきを知る。

逆に「最新こそ最良」という言葉もある。私は半分は正しく、半分は正しくないと思っている。工業製品という側面からだけ見れば最新こそが最良かもしれぬ。しかし、人間に正確な時間を提供するというシンプルな意味において時計の進化はとっくに行く着くところまで行き着いてしまっており、時計は工業製品ではなくもはや装飾品の色合いが濃い。前に時計の価値の大部分はデザインの良し悪しであると断じた。そうであるならば「最新こそ最良」はまったく正しくない。むしろリスクである。

デザインとは表現である。表現の世界は水物。どんなに優秀なアーティストだろうがディレクター(監督)だろうが、表現や制作の現場で最新こそ最良なわけがない。むしろ逆。評価が定まるには長い歳月を必要とすることが多い。そのキャリアや系譜の中に、良いモノもあれば当然のごとく駄作や失敗作もある。いや、むしろ駄作や凡作の方が遥かに多く、またその時々の周辺の流行にも大きく左右され、時に陳腐化し、時に再評価される。歳月が経ってみないとなかなかその真価も見えて来ない。

上に記載したエクスプローラーⅠ 1016などは何と言えばいいか、ケチのつけようがないと言うか、私は自己所有の同じ系譜である114270をこよなく愛好しつつも、かなわないなと素直に思ってしまうのだ。

5桁の高騰が著しい。

ここ数年ひどい値上げを実施した現行6桁の価格を5桁の中古価格が上回ろうかという勢い。それは現行品への失望の表れでもある。人気モデルが手に入らないことへの失望であり、やたら派手で華美になったデザインへの失望であり、更にドレス系や金無垢・宝飾モデルを売りつけたがるメーカー戦略への失望である。そう、ステンレス製の極一部のスポロレを除くと、ロレックス社が売りたい最新現行モデルの多くはあまり人気がないのだ。ドレスモデルのオイパペ、チェリーニ、デイデイト、金無垢デイトナなど。だから市場のお金が4桁、5桁に流れている。これは世界的な傾向であるがゆえに、一部の人気ディスコンモデルは品薄となり価格が高騰したというシンプルな図式。GMTマスターⅡ、エルプリデイトナ、旧グリーンサブなど。

今後については、価格については多少の変動はあるだろうが、価格よりもむしろ危惧すべきは、4桁・5桁がもうこの先生産されることはなく数は減る一方であるという事実。欲しいモデルがある人は本当に押さえておいたほうがいい。コレクターは当分手放さないだろうしし、皆さんが考えている以上に良質な個体は相当数が海外に流れており、この勢いは止まりそうもない。とは言え、中古も人気と不人気の2極化が著しい。個人的にはチュードルのサブ&クロノタイムは鉄板だと確信しているが、それについては長くなりそうなので別の機会に。*でもタイガーは駄目よ。

決算を終えた

また更新が滞ってトップに広告が出てくる始末。仕方なく過去に書いた下書き原稿をアップする。やや古い記事だがご容赦いただきたい。

(ここから)
お陰様で「ウォッチ・ザ・ウォッチ」が先月初めての決算を迎えた。オープンは昨年10月だったが夏に法人成りしていたため6月が決算だったのだ。うちの価格を見ていただければ儲かっていないのはご想像の通りだが、無事に2期目を迎えることが出来たのだからじゅうぶん。人生前向きが肝要。

その謝恩セールで5本出して売れ残ったオメガスピマスAPOLLO 11号。セール後には売れたのだが、実はあれが一番お勧めだった。個体としての状態も素晴らしかったのだが、何よりもデザインが最高に格好良いのと、とにかく市場に出て来ない。限定とはいえ3500個製造されたのでもっと頻繁に出てきても良いのだが、やはり所有者の満足度が高いのであろう。売れ残ったら自分で買い戻そうと思っていた。70万円台という販売価格より遥かに高い価格で海外から仕入れており、それはまあ英語での交渉ミスというか、酔っぱらって(むにゃむにゃ)、まあいい(笑)、色々あったのだ。海外では9千から1万ドルぐらいの値を付けているモデルなのだが、日本ではまだオメガの中古のポジションは定まっておらず、同じモデルが格安で出たりもする。今出ている丸井限定(すでにHOLD)もとてもお買い得。正規OH上がり、その費用10万円超えというから泣ける。30~40万円の時計でもOHの基本料金は8万円。クロノグラフだから仕方ないとは言え、ブランド側は少し考えたほうが良い。オメガ・スピマスは全モデルとは言わないが、希少なモノの値上がりは顕著。日本は海外に比べたらまだ安価で狙い目。丸井限定も意外と出てこないモデルである。50近くまで行くかもしれない。

委託の方では、月末に売れたヴィンテージ・サブ 5513 は抜群の個体だった。あれが数日残ったことについては実に情けない気持ちになったものだ。あの状態で90万円台のフチなし 5513 など他にはないから。「うちはまだまだだなー」だという思いを強くした。買っていただいた方には大変喜んでいただけたようで何より。あれはかなりの上物である。いつか売るならぜひ当社に買い戻させていただきたいが、あれは手放さないほうがいいと私は思う。

自分の抱えている別の業務のせいで店にあまり顔を出せていない。でも、店長さんから「ご購入者様には喜んでいただけたようです」の報告を電話で聞くと本当にうれしくなる。それまで小売店側のそういう言葉は口だけだと思っていた(苦笑)がとんでもない。喜んでもらえたら最高にハッピーで、電話を切ったあとは鼻歌状態である♪。原価割れの商品だってうれしい。特に自分で仕入れたり買取りで入ってきた中で、特に自分が気に入った時計が売れると無性にうれしい。やはりそこは同じ時計好きだからだろうなあとつくづく思うのである。(ここまで)

まあ、色々あって、そんなこんなで日々が流れ、梅雨は過ぎ、いつしか夏真っ盛りで高校野球とか始まっていて、ブログは1ヵ月もサボってしまった。日々暑くて参るが夏は暑いのが正しい。ともにがんばって乗り切ろうではないか。また次回の更新で。

反省

それにしても前回の文章は下手だ。あの日、というのは7/1の土曜日の夕方のこと、予定外に仕事が早く終わったので、たまには更新しようとがんばって書いていたのだが、途中で飽きてしまい(すまぬ)、さらに腹が減り、かつ仕事が終わったので無性にビールも飲みたくなってしまったのである。それで、何と言うか、適当というか、かなり雑にそそくさと書き終えてアップ、近所の鄙びた中華料理屋へ行って長崎ちゃんぽん&ギョーザセット・ウイズ・生ビール(生ビールはお代り有り)を。いい気持ちになり、事務所に戻ってグースカピーと寝てしまったのである。今読み返しても支離滅裂だとは思っていないのだが、かなり乱暴な文章であるのは間違いない。

前回の記事で書きたかったのは、自分を含む多くの時計好きは余計な観念に捉われ惑うものだが、そういうものから解放された時計というのは良いものだと、そこで終わっていればスッキリしたのだが、ツラツラと余計なことを書き足すものだから、今読み返してもとても分かりづらい。相変わらず文才欠如である。そういう本当に好きな時計を得たにも関わらず、我は相変わらず余計な観念に縛られているよなあ、でも趣味って結局はそういう「しょうもないこと」に縛られるものだよなと、その堂々巡りぶりを書いたつもり。自分で言うのもなんだが大した内容ではない。だが、「あっ、時計屋のためになっている」…の下りは「ふぇふぇふぇ、我ながらおもろいやんけ」と自画自賛したことをここで告白しておく。ダウンタウンの松ちゃんがギャグを口にして言い終わっていないのに、その面白さについ自分が先に笑ってしまっているのと同じ構図。それに、たまにはこうやって自分で自分を褒めないとブログなど面倒くさくてやってられないという側面もある。

今日の東京は梅雨の中休み。日差しが眩しかった。暑い日が続くので、5桁以上の時計(スポーツ系)はたまには水道水でじゃぶじゃぶ洗うことをおすすめする。やってみると分かるがとっても気持ちよい。細かいことは気にせず、手洗い用の石鹸の泡でゴシゴシ洗ってよい。ただし竜頭はしっかり閉めること、これ大事。そして、多くのロレ好きはもう決して若くはないのだから過信せずお互い身体には気をつけたいもの。夏は大雨による天災やら事故が多い季節でもある。小さい子どもがいる人は特に。平凡な日常こそがありがたい。では、また次の更新で。

【質問への返事】
1675のMK2はシリアル51~の77年製はあると認識している。下記リンク先はMK2のシリアル51~である。針が交換されているので本当にオリジナルダイヤルかと問われたら断言はできない。基本的にMK2は1971年頃の個体に多い。参考になれば。
https://www.hqmilton.com/timepieces/80x7g53r/1978-rolex-gmt-1675-3390

本当に好きな時計

私にはいつか書きたいと思いつつまだ書き切れないでいるあるテーマがある。それは「時計とは観念である」というもので、これこそが自分が時計、特にロレックスを愛好するようになって以来の大きな課題のようなもの。それは多少大げさに書けば自身の心中を探る旅のようなもの。まあ年内までに整理してここにアップしたいと思う。

今日は違う話題なのだが、多少そのテーマにも関連する。皆さんにとって本当に好きな時計は何であろうか。それを言い切れないのがロレ好きの性(さが)であろうが、私はもう何年も前からそれは決まっていて、別に隠すことでもないので公表するとチュードルの青サブである。イカ針ではなく、普通のベンツ針。中でも好みの色合いというのがあって、鮮やかすぎず、ややくすんだブルーベゼルのそれ。

小さいし薄いし、とても安っぽい。普段よく使うシード16600やオメガ・スピマスから付け替えるとその貧弱さは決定的である。だがこの地味で安っぽい時計は私の身の丈に合っていると感じざるを得ない。私は体格もごく普通だしイケメンでもなく(だいたいもう歳だ)、ファッションセンスがいい訳でもなく(そもそも大して興味もない)、まあ自分で書くのも何だが要するに私には華がない。だから残念ながらデイトナや金無垢が似合わないということは自分が一番よくわかっている。

元々ブルーは好きで選ぶ服や靴は青系が多いというのもある。書いていて気付いたが、眼鏡やマフラー、海パンも青だ。これはかなりのブルー好きだな。そういうこともあって、飽きやすい色物の割に私は地味なステンレス製の青サブが好きなのだろう。ご存知の通り、ロレックスにはコンビや金無垢はあってもSS製の青サブはない。私は自己顕示欲や承認欲求が時計趣味のベースにはないので(すべての人がそうだとは言わないが)、金無垢や宝石付きに魅かれることもない。この地味さ加減がいい。また、この時計がチュードル・ブランドだから好きなのでもなく、もしこの秀逸なデザインと色調がタグホイヤーやシチズンから出ていれば、私はそれを買い求めるだろう。

この時計への私の扱いは極めて雑である。傷とか気にしたことないし、ブレスを外すときにロレだとするテープ貼りなど絶対にせず、その辺にごろんと転がすように置くこともある。ケースもブレスもう傷だらけ。傷だらけの人生、いや時計。

冒頭に書いた「時計とは観念である」。観念で捉えることなく手にした初めての時計なのかもしれない。最終品番がどうとか、マイネーム・ギャラだとか、ノンポリッシュだとか、出荷国はどこだとか、細かいすべてのパーツがオリジナルかどうかとか、文字のレタリングがどうだとか、タグや当時物の箱なっどの付属品はすべてそろっているかとか、もう数えきれない、本来の道具として時計の本質とは遠いくせに、自分を縛り付ける多くのことから、この時計は解放され自由である。もちろん今比喩的に書いた。解放され自由であるのは私自身だ。

だが、それがゴールではない。それはもはや趣味ですらないからだ。矛盾するようだが、あらゆる拘りや我執に囚われ、惑い、魅了されてこその趣味なのだ。大した意味や意義はなく、ほとんどは金と時間と労力の無駄遣いであり、他人にはまず共感してもらえず、多分ほとんど世の中のためにもならないものが個人の趣味ではないか。世の中のためになる趣味などあるだろうか。ひと様の為になっていることでそれは趣味という領域のものではない気がするのだが。あーあー、すまぬ。時計屋のためになっていた(笑)。ここまで真面目に書いたのに、最後は落語のようなオチに。お後がよろしいようで、、、と書きながら次はいつになることやら。ではまた今度。

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セールのお知らせ

ショップを昨年10月にオープンした最初の商品はエルプリデイトナU番ギャラ有りだった。当時エルプリデイトナの相場は黒のA番で150万円台の後半ぐらいだったが、今は250万円を軽く超える相場。この9ヵ月で世の中の景気にも為替にも大きな変動がない中でのこの価格の上昇をどう説明すれば良いものか。時計好きにとってはまるで何かの罰ゲームのようである。こういう現象が世の中にロレックス以外にあるかと問うてみてもまったく見当たらず、本当に特異な世界だと改めて痛感する。金(ゴールド)や株に近い金融商品のようなものと言いたいところだが、それらにだってなかなかここまでの大きな変動はない。時計に限らず相場というものは上がることもあれば下がることもある。自分の物差しをしっかりと持っておきたいもの。

もうすぐ7月。夏である。夏と言えばスポロレの季節。夏のボーナス時期はさぞや盛り上がると思っていたが、その前に一気に相場が騰がり、つまりはそういうことかと。

デイトナからスタートしたショップははや8ヵ月が過ぎようとしており、ここまで本当に多くの人にお世話になった。この場を借りて感謝申し上げると同時に、ささやかだがそのお礼の気持ちとして、明日から値引きセールをおこなうことにした(委託品はのぞく)。ただ、今ある在庫はどうしても早期に売り切りたいというわけでもないので、値引きは3日間限定とさせていただき、金曜日の夕方には価格を戻させていただく予定(残ったものの一部は一度店頭から引っ込める)。対象は、ディープ黒、チュードル青サブ、オメガ限定3500、GMT16710 Z番cal.3186、114270ランダムの計5本。ディープはいつどこでも買えるが、他4本はどれも結構レア品。全部ではないが、原価割れ、つまり赤字でも出すつもりである。明日の午後にWEB公開するので興味をお持ちいただける方はぜひHPへご来訪を。抽選ではなく先着順、HOLDは正式注文の方のみというのは前からの規定。そこら辺はよろしくお願いしたい。では、梅雨真っただ中だが、みなさん健康にはじゅうぶんご留意のほどを。また次の更新で!

6月、梅雨、やっぱりシード

ニッポンの夏はイイなあ、などと能天気に書いたら、いきなり関東梅雨入りである。そうなのだ。日本の夏にはその前にきわめて鬱陶しい梅雨というものがある。梅雨と言えば雨、降らなくても曇天、ジクジク、暑くて蒸し暑い。まあやっぱりシードだろと書きたくて更新。

それで終わるわけにはいかないのでたまには新しいシードについて書いておく。後継でディスコンとなった116600は、確かにあそこまで不人気であるべき時計ではなかったように思う。6桁サブに比べるとラグはすっきりしていたし、高級感もグンと増していた。それでも売れなかった最大の理由はやはり1,069,200円という驚きの定価だったに違いない。忘れてはいけない事実だからしっかりと書いておくが、前作の16600は税込で609,000円である。175%アップ。この1,069,200円という定価は原価から積み上げたというよりは、闇雲に値上げしたサブデイトとディープシーの間で設定するしかないという事情によるものであろう。サブよりは高くしなければいけないし、ハイスペックなディープよりは安くしないと辻褄が合わない。「まあ他も上げちゃったし、こんなとこでいいんじゃね」と決めたに違いないと私は確信している。メーカーの定価設定なんていい加減なものだ。あなたや私がいい加減なのと同じように、ロレックスの社員や役員だっていい加減なのだ、きっと。ついでに書いておくと、あなたの上司とかだって偉そうに振舞っているかもしれないが、かなりの確率でいい加減なはず。ちなみに、「いい加減」という言葉には、良い湯加減などと同義に良い意味を込めて使われることもあるのだが、私がここで言う「いい加減」とは、「適当」とか「だらしない」とかそっちの方であるよ。

この時計は生産期間が短かったこともあり、プレミアム化を期待している所有者も多いかもしれない。どうだろうか?可能性はあると思う。特に保護シールが付いたデッドストックはそうなる気はする。が、数年後に実際どうなっているかは正直なところは、梨地・鏡面含めてよくわからない。

そして最新の赤シード216600。定価は更に騰がって1,166,400円成り。この時計はまだ現物を手に取ったことがないから詳細は書けないのだが、おそらく質感は前の116600と似ているはず。セラミックベゼルに大きなドットインデックスと太い針。6桁以降の正統派ロレックス。いまだになぜこの時計にサイクロップレンズが付いたのかよくわからないが、まあ付いているものは今さらあーだ、こーだ言ってもしょうがない。いや別にロレックスの時計にサイクロップレンズが付いていても構わないのだが、これまではそれの有無がサブとシードのすみ分けだったのは確かなので、この会社の考えていることはよくわからない。だが、正直なところ行き当たりばったり(要するにいい加減)の会社でもあるので、実は深く考えていない気がする。世界中のロレオタたちの方がよっぽど深く(無駄に)考えている。このキャリバーがどうだとか、字体がどうだとか、マークいくつだとか。そこが面白くもあり滑稽でもあり、そんなこんなを喧々諤々やりながら、日々が流れていくのも悪くない。とりあえずの私の関心は早く梅雨が明けて欲しいということである。
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