研磨について

正月以来まったく更新できずにいたこのブログ。年明けから元々の仕事が忙しくなかなか書けずにいるが、今日はがんばって更新。テーマは研磨(ポリッシュ)について。

オーバーポリッシュというのは嫌なものである。特にヴィンテージの世界に入ると、それはもう研磨&メンテ履歴との戦いと言っても良い。古い時計のエッジが丸くなってしまった個体は、文字盤がどれだけ美しくても入手が躊躇われるもの。特にサブやGMTは本来のケースのエッジが立っているため、オーバーポリッシュはどうしても目立ってしまう。

だが、研磨と言ってもすべてをひとくくりにするのは間違いだと今の私は思っていて、私は下記の3つに分類している。
1)日本ロレックスサービスかそれに準じる技術を持つ工房による研磨
2)下手な業者さんによる研磨
3)素人による研磨

私は、1はむしろ推奨する立場なのだが、それはこのビジネスを始めたからではない。もっと前からだ。きっかけは入手したある中古ロレックス。それはワンオーナーのノンポリッシュ物でエッジはビンビンに立っていたのだが、ケースやブレスには結構な数の細かいスレ傷があった。どれも深いものではなかったのだが、ちょっとした心境の変化で私は物は試しとOH時、日ロレに研磨をお願いしてみた。別の理由で少々その購入が失敗だったと思える時計だったからということは正直に書いておく。早晩手放す予感がしていたということ。それが戻ってきたときの感動をどう言い表せばいいのだろうが。マジで感動ものであった。ケース痩せなどまったくわからないし感じない。帰宅してからその時計を手に取ってつくづく感動したのだ。こ、これはまるで新品であるなと。これが噂の日ロレ研磨かと。恐るべし日本ロレックスSC。

1967年に作られ、こんにちまでの50年間で、推定7~8人かあるいはもっと大勢の所有者を経てきて、その所有や売買の過程で何度も何度も研磨が繰り返されてきた個体と、5桁、6桁でここ数年1~2度研磨されてきた個体を、同じように研磨歴有りの時計とくくるのは絶対に違うと私は思う。

それ以来、私は個人所有の5桁以降は日ロレでのOH時には必ず研磨をしている。何の躊躇もない。ただしヴィンテージは別。すでに明らかに研磨歴の有る個体はケースバイケースの判断。

直近でHPに出したGMT16700。入ってきたときから誰が見ても本当に良い状態の時計だったのだが、それでもいくつかの薄いキズがあって、これはOH時、日ロレに研磨をお願いした。そうしたところ案の定、惚れ惚れする出来となって帰ってきた。問い合わせ段階で研磨歴有りと知って購入を取りやめた方が何名かいたのだが、私は出来ることならその人たちにそのビフォー・アフターをお見せしたかった。

未研磨を概念や観念として捉える人が多い気がする。「探すなら未研磨」。未研磨とは一度もケースやブレスが削られていない個体を言うのだが、そういう個体はデッドストックでもない限りは、通常では他人が付けた結構なキズがある時計のことである。ステンレスや無垢にキズがついている。もちろん観念としては、未研磨でキズがないものを望むのだろうが、ではあなたはたった一度の研磨を見抜ける絶対的な自信があるか。市場には「未研磨」を謳(うた)った個体は結構あるが、そもそも未研磨を証明することはとても難しいのだ。ほとんどが前所有者の自己申告でしかないし、あるいはその伝聞でしかない。私はリアルな個体を預かるものとして、証明できない未研磨というのをあまり過剰には謡いたくない。大事なことは観念としての「未研磨」ではなく、キズや磨きを含めて良い状態の時計かどうか、自分が買っても良い(売っても良い)状態の時計かどうか、リアルな時計を見て判断するその感性や眼力の方がよっぽど大事ではないだろうか。

気をつけるべきは、上記2や3によって下手に研磨された個体。エッジの角が丸くなったり、ラグ穴が垂直ではなくなるような下手くそな研磨は避けて然るべきだが、概念や観念としての「未研磨」に捉われるのではなく、よくよく個体を見て判断すべきだと私は思う。特に現行のGMTやデイトナなどのブレス中駒の鏡面部。元々ラグジュアリーな造りを目指した時計のそのキラキラの部分がすり傷だらけで、「未研磨」を誇るほうが私には奇異に思える。あの鏡面部は感動的なまでに元の輝きを取り戻す。またデイトナはベゼルに傷が付きやすいが、日ロレなら墨入れもやってくれる。ぜひ試してみていただきたいと思う次第である。時計についての「観念」は今の自分のテーマのひとつでもあるので、いずれ又書きたいと思うが、今日はこの辺りで。
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