OYSTER JUNKY WEB

これを記事にするかどうかはずいぶんと長い間悩んだのだが-いや実はこれを書きながらまだ逡巡している-、思うところあって今回アップすることにした。あるHPが私に与えた影響の大きさ。もはやロレックスというブランドそのものが、あるいはロレ好きである私たち自身が失ってしまった何かがそこにはある。情熱といってもいいし、疾走感といってもいい。古いロレックスはこういう感性とともにあったことの喜ばしさ。自分もそうありたいという願い。もう更新されなくなって久しく、今さらこんなところで紹介されることを本人が望むとも思えず、ただ消すことなく放置していることはそういう意思の表れなのか、あるいは何かあったのでなければよいが、などと考えを巡らしてしまう。知る人ぞ知る“OYSTER JUNKY WEB”である。

世代的には私より10歳近く若い彼は1988年の15歳のときにロレックスサブマリーナー16800の魅力に取りつかれ、以後バイトに明け暮れ、1990年にサブを買いに香港へ、高校生である。何という早熟。予算22万円の彼は香港の現地人からサイクロップレンズ無しのサブを提示され、それを5513だと知らずに購入する。彼はその後アメ横で16610を、そしてebayでヴィンテージサブやシードを買っていく。

「サブマリーナー原理主義者は金無垢など買ってはいけない」、「狙うは正しく5513か1680であるべき」、「サブにはプロレタリアートこそが似合う」、などと過激な言葉が並ぶ。彼は購入したヴィンロレにオールニューを施し、裏蓋にこう入れるのである。“OYSTER JUNKY~”と。サブしかりシード(1665)しかり。その潔さ。WEBでは購入したロレの水没、ebayセラーとの物々交換(!)、オールニュー、裏蓋刻印、外装パーツの変更などをおもしろおかしく書き綴ってゆく。その文章の根底に流れるのは、言葉は悪いが、手に入れたロレックスをいかにして自分だけのモノに仕込んでいくかの物語といったらいいだろうか。

ヤフオクでロレックスを買うなんて怖い…、海外からの個人輸入でとんでもないまがい物をつかまされたら…、ヴィンロレはオリジナルこそ命…、人生において基本的にはリスクを避け、予定調和が人生の基本だと考えている人は一度OYSTER JUNKY WEBを読んでみるがいい。真似をする必要はないが、ここまで突き抜けないと至れない場所や境地というのがある、その事実を知ることは決して無駄ではない。

差益が出たら売却とか、いつか手放すことを前提とした箱入り娘のような扱いからは遠いその向き合い方。私が影響を受けたのはそこである。プロレタリアートにこそ相応しい4桁サブマリーナーを使いこなしていくこと、ともに時を刻んでいくこと、自分の物という証として外装のミドルケース、竜頭、ブレス等をすべて新調し、裏蓋に刻印を入れる。オリジナルのこだわりなど微塵もなく、希少であることに価値を見出さず、当時キムタクで大ブームのエクワンに目もくれないサブ原理主義者。あまりにも爽快で笑ってしまう。一読を強く勧める。私の赤サブのオールニューはこのwebとの出会いがなければ実行されることはなかった。

独白。ある日、私は愕然とした。オリジナルのままだったら、私はいつかこのサブを手放すだろうということを直感的に感じ取った瞬間があった。100万もの時計を私は簡単にまた飽きて何かと交換(下取り)するだろうと。こういった連鎖を断ち切らないと、私はずっと無明の闇で迷走していくことになる。そんなときに思い出したのだ、すべての自己時計にオールニューを施すサブ原理主義者のことを。今は心から感謝している、このHPとの出会いを。リアルな本人と出会ってはいないが、HPを通じて彼を知ることができたことを。

話を戻す。後半にいくと、多くの読み手にとって痛い言葉が並ぶ。彼ほどは突き抜けられない私やあなたの痛いところを突いてくるが、そこは真正面から受け止めて読むべし。例えばこんな言葉。「絶対的な『時計そのものの価値』の追求ではなく、相対的な『時計の比較』でしか価値を測れない空虚さ」。私や多くの人が逃れられないことの本質はこの言葉に凝縮されている。多くをここで語るのは野暮だ。リンクも貼らない。自分で訪問して欲しい。OYSTER JUNKY WEB。。。
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