ヴィンテージはどこへ

以前、製造から半世紀近く経った1960年代70年代の時計のパーツ、特に針がそろそろヤバいのではないかという記事を書いた。トリチウムが焼けたオリジナルの文字盤に真っ白いハンズのバランスはとても恰好悪いとも。

今回は他のパーツの話。少々マニアック。「いつまでも交換用パーツがあるわけではない」がテーマ。一例を挙げる。まだ記事にしていないが、デイトナ16520のサファイアグラス(風防)は私が探した限りではどこにもなかった。これはちょうど2年ぐらい前、仕事でアジア中を飛び回っている多忙な友人からOH代行を頼まれたときのこと。軽い気持ちで引き受け、代理で日本ロレックスにOHに出した際、後日ロレックス社から電話がかかってきて風防の交換を勧められたのだ(絶対条件ではなかった)。サファイアグラスの交換などもっての外だと思った。なぜなら、ご存知のように初期のエルプリは当然透かしの王冠マークなし、日ロレで交換すると王冠マーク付きの風防にされてしまうからである。しかも交換したことがわかる、王冠の下のスペースにSが横向きに記載された変な王冠マークに。預かり物にこんな処置を施すわけにもいかないので風防交換は断った。書き忘れていたが、預かり物は黒文字盤の初期225タキ4ラインである。針や文字盤はもちろん、竜頭もプッシャーも交換無しだから極上品といって良い。いつかこの時計を譲って欲しいとあれから2年経った今もそう思っている。

それでOH期間中に正規品の風防をどこかで入手して、日ロレ以外の工房で交換しておいてやろうと、まあ親切な私は考えたわけである。そこで色々と探したのだが、王冠マークのないオリジナルパーツの風防25-295(サイクロップ無し)はどこにもないのだ。私が甘かった。八方手を尽くしたがどこにもない。有名なメンテ屋さんに問い合わせたがどこも「在庫なし」。海外もない。いや海外は怪しいのならある。ひとつだけ香港のショップでそれらしい中古を見つけたが、純正品の保証はないし、WEBでは傷の有無もよくわからず断念。仕方なく先ほどの連絡のあと、OHが上がり、その受け取り時に日ロレのカウンターで相談。そうしたら白衣の人が出てきて、「いえね、この風防は他の16520のとちょっと違うんです。かといってマガイ物や社外品と断定するには質があまりにも良すぎるんです。このモデルの最初期には他にもちょっと他と違うところがある(変な日本語で申し訳ない)んですが、全貌はもうわからないんです。だから先日電話で交換のお話をさせていただきましたが、ワタシ個人の見解としてはこのままでいいと思います」。このコメントはマジで現役の日ロレ技術者の言である。深いなあ。80年代後半の時計でこれである。まあ頻繁なオーバーホーラー(ハハハ)として優遇されているのかもしれない。いや実際のところ、恐ろしくて計算していないが、私が日ロレにOHに出した数と金額はなかなかスゴイゾ。

少し話が逸れたが、今回書きたかったことはデイトナ5桁のオリジナル風防の入手がきわめて困難というかほぼ不可能だということ。ロレックスのオリジナルパーツの豊富さには自信があるという某工房もこれには「う~ん無理です」と。もちろん、あるところには有るのかもしれないが、私が探した範囲ではどこにもなかった。ついでに書くとフラッシュフィット503も入手は難しい。503Bではない。初期3駒ヘアライン・シングルバックルブレス用のフラッシュフィット503。つい先週、私が見る限り初めてヤフオクに出てきて結構な入札が入り、2万円近い価格で落札されていた。何度も書くが、80年代後半の時計のパーツでもこんな具合である。60年代となると…。

後日談。デイトナを返却するときに、上の経緯を話すと、所有者は海外のショップに頼めば風防なんていくらでもあるよと。げっ、そうなのか。ヴィンテージはネットワークさえ持っていれば、まだまだ全然オッケー、大丈夫だとも。それに風防など社外でもいいのだ、意外と細かいことを気にするのだなとも。そ、そうなのかー。

これからのヴィンテージはどうなるのだろうか。発売から結構な歳月が経った今は曲がり角なのだろうか。いやたぶん曲がり角なのは我々の側なのだろうという気がするが、そのあたりは次回に。
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